公開日 2020年10月26日

投資主導の景気回復が続く中国経済

感染者が再び増加し景気が悪化しかねない状況にある欧米と比較すると、世界経済のなかで中国がいち早く経済成長を実現しつつあるのは、感染が抑制されているからにほかならない。
投資主導の景気回復が続く中国経済

投資主導の景気回復が続く

7~9月の中国のGDP成長率は前年比4.9%と、4~6月の3.2%から伸びが加速した。中国の新型コロナウイルスの新規感染者数は3月初めに急減し、その後、単発的なクラスターは発生しているものの感染は抑えられている。

最近の新規感染者数は1日、十数人程度にとどまっている。1日当たりの検査能力が最大500万件とされる大規模なPCR検査と感染者の早期隔離措置が封じ込め成功の原因とされる。感染者が再び増加し景気が悪化しかねない状況にある欧米と比較すると、世界経済のなかで中国がいち早く経済成長を実現しつつあるのは、感染が抑制されているからにほかならない。

ただ、ここまでの中国経済の回復は、感染の動向にさほど影響されにくい公共・インフラ投資などに牽引されており、感染の動向に影響されやすい個人消費などはやはり少し出遅れているというのも事実だ。需要項目別のGDP増加寄与度をみてみると、今年に入ってからの成長が投資の増加によるものであることがわかる。

中国のGDP統計では、4半期ごとの需要項目別の統計が発表されない。また、需要項目別GDP増加寄与度の数字は1~3月、1~6月、1~9月というように、年初来のGDP成長率の数字に対応した数字しか発表されていない。

そこで、GDP成長率についても1~3月、1~6月、1~9月の数字を見ていく必要があるが、GDP成長率は1~3月の前年比マイナス6.8%から1~6月マイナス1.6%、1~9月プラス0.7%とプラスに転じた。この数字に対応した消費の寄与度は1~3月のマイナス4.4%から1~6月マイナス2.9%、1~9月マイナス2.4%と、マイナス寄与の状況が続いている。

一方、投資の寄与度は1~3月のマイナス1.5%から1~6月プラス1.5%とプラスに転じ、1~9月はプラス3.0%とプラス幅が拡大し、成長率を押し上げる要因になっている。

他方、純輸出の寄与度は1~3月イナス1.0%から1~6月マイナス0.2%、1~9月プラス0.1%と若干のプラス寄与にとどまっている。

月次で発表される固定資産投資から投資の動きをみることができるが、1~9月の固定資産投資は前年比プラス0.8%と1~6月のマイナス3.1%からプラスに転じた。1~9月分から1~6月分を差し引きし計算した7~9月の固定資産投資は前年比プラス5%程度となる。

投資財の価格が下落しているため、7~9月の「実質」固定資産投資は前年比2桁近い増加になっているとみられる。固定資産投資のなかで、特に大きく増加しているのは不動産投資(1~9月は前年比5.6%増、7~9月は推定12%程度の増加)、電気・水道・ガス(1~9月は前年比17.5%増)など、インフラ関連の投資だ。

鉱業、製造業などの第二次産業の投資も年初来の前年比でみると1~9月はマイナス3.4%となお水面下であるが、7~9月は推定プラス5%程度と増加に転じたもようだ。多くの製造業の投資活動は低迷しているが、鉄鋼、医薬品、通信・電子機器など一部産業の投資が伸びている。おそらくは、米中貿易摩擦のなかで、主要物資については輸入に依存せず自給する必要に迫られており、政策的に国内での生産能力を高めようとしているのではないかと思われる。

一方、消費関連の指標である小売売上高の前年比は7月マイナス1.1%、8月プラス0.5%、9月プラス3.3%とプラスに転じたが、7~9月平均ではプラス0.6%と前年並みの水準だ。小売売上高のなかでも増加が目立っているのは自動車販売で、7月前年比12.3%増、8月11.8%増、9月11.2%増と3か月連続の2桁増加になった。

自動車販売の増加については、

  1. 不動産開発投資やインフラ投資の増加に伴って、大型トラックなどの販売が増加していること(このためこの部分は需要項目別にみると消費ではなく投資に分類されるはず)
  2. いくつかの地域で自動車購入に補助金が支給されていること
  3. 感染の心配のある公共交通より人との接触が少ない乗用車が移動手段として選好されていること

などが背景にあり、好調が持続するかどうかは不透明だ。

比較的好調な財の消費に比べ、人と人との接触が多いサービス消費は、まだ低迷しているサービス消費は小売売上高統計に含まれないが、レストラン収入の前年比は8月マイナス7.0%、9月マイナス2.9%とマイナス基調が続いている。半年以上感染がほとんど抑えられているとはいえ、サービス消費を中心に、全体としての消費はまだ経済を牽引する状況には至っていない。

人民元高に円がつれ高になる可能性も

このように中国景気の回復はまだ官主導で、景気刺激策に依存しているといえる。ただ、日欧米などと比べると、中国の経済が上向いてきたこともあって、当局は過剰な景気刺激について慎重になろうとしている。

金融政策面では、中国人民銀行が金融緩和に軽くブレーキをかけようとしている。

10/26の「イーグルフライ」掲示板より一部抜粋しています。
全文を読みたい方は、イーグルフライ掲示板をご覧ください。

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エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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