公開日 2024年12月31日

次回1月の日銀会合では円安が問題に

次回1月会合時には、物価統計からみても円安の影響は無視できない状況になる。次回1月会合で、日銀は円安に対して何らかの対応をとらなければいけなくなるだろう。
次回1月の日銀会合では円安が問題に

日銀は、内外の不確実性に対する情報収集の必要性から金利を据え置いた

12月18~19日の日銀金融政策決定会合で、日銀は政策金利を据え置いた。

今回は、直前の12月12日頃、金利据え置きを見込む「日銀関係者の見方」が報道され、事前の予想は「金利据え置き」がほとんどだった。

同関係者によれば、

  1. 消費者物価の上昇に加速感が見られず、海外経済の不確実性が強まっている中で、
    追加利上げを急ぐ状況にはない
  2. 賃上げコストを価格転嫁する動きに広がりが見られているが、
    物価上昇が加速する状況ではない
  3. トランプ次期米大統領の就任を来年1月に控え、
    具体的政策と世界経済への影響を含めた不確実性は大きく、
    1月以降に利上げを先送りした場合も大きなコストは伴わない

というものだった。

金利スワップ市場の相場から計算される利上げ確率も低かったが、円相場が弱含みで推移するなかで「サプライズでの利上げがあるのでは?」という警戒感もあったが、結局は金利据え置きが決まった。

しかも、政策決定会合後の植田総裁の記者会見は、予想以上にハト派的と判断され、円安が加速した。

植田総裁が金利据え置きの理由として挙げたのは、主として、内外経済の双方での不確実性に対し、もう少し情報収集が必要だから、というものだった。

12月27日に発表された「金融政策決定会合における主な意見」によれば、国内経済の不確実性は「賃金と物価の好循環の強まりを確認するという視点から、春季労使交渉に向けたモメンタムなど今後の賃金の動向について、もう少し情報が必要である」というものだ。

一方、海外経済の不確実性は「米国経済は堅調に推移しているが、現時点では次期政権の経済政策を巡る不確実性は大きく、その影響を見極めていく必要がある」「米国経済は底堅く、新政権の財政政策等の下支えも期待され、ソフトランディングより早期の再加速も想定され得る。他方、指標発表等で市場が大きく変動する可能性もあり、経済底入れ期待が醸成されるまで、注意深く見極める必要もある」というものだ。

実際、米国経済の問題に関して言えば、日銀会合前日の米FOMCで、予想通りの利下げが決まったものの、トランプ新大統領の関税政策や移民抑制策などによるインフレ加速が来年の利下げを困難にするのではないかといった懸念が、米長期金利の上昇を招き、米国株価が急落した。

幸いにも米国株の急落はその日だけで止まったが、仮に、日銀が利上げを決めていたら、日本の長期金利上昇などが米国で一段の長期金利上昇を誘発し、米国株式市場の混乱が続いていた可能性もある。

7月末のサプライズ的な利上げが急激な円高を誘発し、米国経済のリセッション懸念台頭による米国株下落と相まって、日本株急落につながったという経験もあり、日銀も利上げに踏み切れなかったのではないか。

「金融政策決定における主な意見」では「先行き、国内における税制・財政を巡る議論の行方や、来年初に米国で発足する新政権の政策スタンスに、大きな不確実性がある。

そのため、リスクマネジメントという観点から、今回は、金融政策は現状維持とすることが適切だと考える」と述べている。

ここで書かれている「リスクマネジメント」は、前日の米国株急落後に利上げし、それが日本株を下落させることになって、再び日銀が批判にさらされる、といったリスクを意味しているのではなかろうか。

次回1月会合までには多くの情報収集ができず、利上げ判断が先送りになることも

このように、今回の日銀の金利据え置きの理由は、国内の賃金動向、トランプ政権の政策という2つの面での不確実性についてより多くの情報を収集するためだった。

だが、普通に考えれば、次回1月23~24日の政策決定会合までに、この2つの問題に関する情報収集が十分にできるかどうかという点は疑問だ。

まず、賃金動向に関して言えば、月次統計で発表される毎月勤労統計などでの賃金動向を確認することはできるが、重要なのは、春闘がどうなるかであろう。

例年の春闘スケジュールは3月初めに要求が出され、5月上旬ごろまでに回答が出揃うというものだ。

こうしたスケジュールから言えば、1月会合までに新たな有力情報を得ることは難しい。

今年のケースをみても、1月政策決定会合時に発表された「展望レポート」では、賃金に関する記述はほとんどなかった。

今年は、利上げが実施された3月会合時になって、ようやく「賃金を巡る環境を整理すると、企業収益は改善を続けており、労働需給は引き締まっている。こうしたもと、本年の春季労使交渉では、現時点の結果をみると、昨年に続きしっかりとした賃上げが実現する可能性は高く、本支店における企業からのヒアリング情報でも、幅広い企業で賃上げの動きが続いていることが窺われる」との記述が加わった。

また、トランプ新大統領の就任は1月20日だ。トランプ氏は確かに就任早々、輸入関税実施に踏み切ると述べているが、実際に、どの国を相手に、どの品目について輸入関税がかけられるかがわかるのは、早くて数か月後になる。

大統領就任のあと数日しかない、1月の政策決定会合で、輸入関税の影響を推し量ることは難しい。

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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/12/31の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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新見未来

エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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