公開日 2024年7月9日

米国経済は崖っぷち状態か?

企業の景況感が悪化し、需要も伸び悩むが続く一方で、雇用は比較的しっかりしている。雇用統計が堅調さを維持していることは、経済全体としてみれば、好ましいことではない。米国経済は「ゴルディロックス」というより、崖っぷちにあるとみた方が良いのではないか。
米国経済は崖っぷち状態か?

製造業、非製造業ともに企業の景況感が下向きに転じ始めている

米国経済の先行き不透明感が強まっている。

7月に入ってから発表された景気指標をみると、ISM製造業・非製造業景気指数はともに悪化、一方、雇用統計は比較的堅調だった。指標はまちまちで、判断がつきかねないようにもみえる。

こうした判断がつきかねない状況を、経済が良くも悪くもない「ゴルディロックス」状態ととらえる向きもある。

だが、現在の米国経済の状況を、良くも悪くもない「ゴルディロックス」ととらえるのは間違いだろう。

まず、企業景況感は製造業、非製造業ともに悪化し、米国経済全体としての生産活動は落ち込み始めている。

6月のISM製造業景気指数は48.5と前月の48.7から低下した。ISM製造業・非製造業景気指数は、その数値が50を上回っていれば景気が上向き、50を下回っていれば下向きであることを示す。

ISM製造業景気指数はコロナ特需の反動から22年11月以降、ずっと50割れの状態を続けていた。22年11月以降、製造業景気は概ね下向きで推移していたことがわかる。

ただ、同数値は23年6月の46.4を底に上向き、24年3月には50.3と一か月だけではあるが、50ラインを上回った。景気の落ち込みの程度は次第に緩やかになり、今年3月には落ち込みが止まるところまで来ていた。

しかし、5月以降は3か月連続の50割れとなり、しかも、5月49.2、6月48.7、7月48.5と数値は低下している。足もとの製造業景気は3か月連続で再び悪化し始め、7月にかけて悪化のテンポが速まっていることを示す。

せめてもの救いは、先行指標である受注指数が5月の45.4から6月は49.3と上昇したことだが、依然として50割れの状態であることに変わりはなく、製造業景気の悪化が今後とも続きそうだという見通しに変わりはない。

一方、ISM非製造業景気指数も6月は48.8と50ラインを割り込んだ。

ISM非製造業景気指数は22年12月に一時的に49.0と50割れになったことがあったが、コロナショック以降の20年6月以降、50超えの状態が続いていた。

これまでは、製造業景気が低迷していた半面、非製造業景気の拡大が米国景気全体を支えていたことがわかる。

しかし、今年に入ってからのISM非製造業景気指数は、4月に49.4と50割れとなり、5月53.8と上向いたが、6月は48.8と再び50割れとなった。

3か月のうちに2回以上50割れとなったのは、コロナショックで20年4~5月に連続して50割れとなった時以来のことだ。

現状では、製造業景気が再び悪化の度合いを速め、米国景気全体を支えていた非製造業の景気も悪化に転じつつある。

過剰貯蓄払底による消費鈍化、ドル高による輸出減少により成長率は1%台に減速

日々発表される経済指標を元に、当期のGDP成長率を推計する、アトランタ連銀「GDPナウ」によれば、7月3日時点の4~6月のGDP成長率は年率1.5%と推計されている。

米国のGDP成長率は昨年7~9月の年率4.9%から10~12月同3.4%、今年1~3月同1.4%と鈍化した。アトランタ連銀の推計通りだとすれば、4~6月も1~3月に続く低成長になる。

需要項目別にみると、現在の米国経済の足を引っ張っているのは、個人消費と純輸出だ。

個人消費については、
(1)コロナショック時の給付金による過剰貯蓄がなくなりつつあること、
(2)低所得層では金利上昇により消費者ローンの負担が増大していること、
などが消費環境を悪化させている。

株高による資産効果や雇用環境の好調などの支えはあるものの、それらが消費を押し上げる効果は限定的であるようだ。

GDPナウによれば、個人消費は昨年10~12月の年率3.3%増、今年1~3月の同1.5%増のあと、4~6月は同1.1%増とさらに鈍化する見込みだ。個人消費の成長率押し上げ寄与度は昨年10~12月の2.2%、今年1~3月1.0%から4~6月は0.8%と低下する。

また、純輸出については、ドル高と対中貿易摩擦による輸出環境の悪化が純輸出の赤字幅を拡大させ、GDPを押し下げる要因になっている。

GDPナウによれば、輸出は昨年10~12月の年率5.1%増、今年1~3月の同1.6%増から、4~6月は同2.9%減と減少に転ずる見込みだ。

輸出から輸入を差し引いた純輸出の成長率に対する寄与度は、昨年10~12月のプラス0.3%から今年1~3月はマイナス0.7%とマイナスに転じていたが、4~6月はマイナス0.8%とマイナス幅が拡大する見込みだ。

企業景況感からみると製造業、非製造業ともに企業の生産活動は落ち込み始めている。需要動向をみると、消費と純輸出が経済の足を引っ張り、GDPの伸びは低迷している。

米国経済の先行きはかなり怪しいものになってきていることがわかる。

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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/7/8の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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新見未来

新見未来

エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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