公開日 2024年5月20日

米国株の割高度合いが一段と高まっている

米国経済の一人勝ちは昨年までのこと。労働生産性の低下で、米国経済の先行き不透明感は強まっている。パウエルFRB議長は「次の行動が利上げになる可能性は低い」と述べ、3%台後半のインフレが続くなかにあっても、あくまでも利上げを否定している。これは、インフレを放置し、景気押し上げのために、利下げを行なおうとしているようにみえる。
米国株の割高度合いが一段と高まっている

1~3月の企業利益は伸び悩んだが、アナリストは利益の伸びが
2桁台に加速すると予想している

米国株がナスダック、ニューヨークダウ、S&P500ともに、先週、高値を更新した。

まず、株高の背景となる企業利益について言えば、利益は昨年後半の増加のあと、今年1~3月は伸び悩んだもようだ(図1参照)。

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S&P500種株価指数の今年1~3月の1株当たり利益(ブルームバーグ集計の見込み)は57.6となっている。

昨年1~3月の54.4に比べ5.9%増加するが、昨年10~12月の58.5に比べると1.5%減少する見込みだ。ちなみに、5月17日時点のS&P500株価指数は、3か月前に比べ5.9%上昇、1年前に比べ27.5%上昇した。

株価が企業の利益だけで説明できないことは明らかだ。

結果として、実績ベースの1株当たり利益でみた株価収益率(株価÷1株当たり利益)は25.4倍と、コロナショックの影響が残り、利益がまだ低水準だった21年年末以来の高さになっている。

確かに、予想ベース(ブルームバーグ集計)の1株当たり利益でみた株価収益率は21.9倍とさほど高くない。だが、これはアナリストの利益予想が楽観的なためだ。

今年1~3月に57.6(前年同期比4.2%増)と頭打ちになった感のある利益は、この後、4~6月に59.4(同5.9%増)、7~9月63.4(同11.1%増)、10~12月64.0(同15.8%増)と再び増加し、増加テンポを加速させるというのがアナリストの予想(ブルームバーグ集計)だ。

通年の1株当たり利益は、23年通年の221.3から、24年244.4(前年比10.4%増)、25年275.4(同12.7%増)と2桁増が続くと予想されている。

景気が減速し、インフレも鈍化する(すなわち名目GDPの伸びが鈍化する)というのが、コンセンサス予想であるのに、企業の利益だけが大幅に伸びるというのは、明らかに非現実的な予想だ。

S&P500種株価指数の適正水準は約3,100で、現水準より42%低い

株価収益率の上昇は、しばしば金利の低下などで説明できるのが、今はそれも難しい。

通常、株式益回り(株価収益率の逆数)は、実質金利の動きと連動する。

しかし、昨年4月頃からの株式益回りと実質金利(10年もの物価連動債利回り)の動きを見比べると、実質金利が上向きに推移するなかで、株式益回りが低下基調を続けるという展開になっていた(図2参照)。

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今年に入ってからの動きをより詳細にみると、今年1月末から4月末にかけては、実質金利が1.7%から2.3%に上昇するなかで、株式益回りは4.6%から4.4%に低下した。

5月に入ってからは実質金利が2.3%から2.1%と小幅に低下するなかで、株式益回りは4.4%から4.0%とかなり低下した。

つまり、実質金利が上昇しても株式益回りはそれに関係なく低下し、実質金利が少しでも低下すると株式益回りは大きく低下する、という展開だった。言い換えれば、株式市場は悪材料を無視し、好材料には過大な反応をみせた。

株価の利益還元モデルから、以下の式が導き出される。

株式益回り=実質金利-予想実質利益成長率+リスクプレミアム…(1)

ここで、投資家が株式投資に当たって、自らの負うリスクに対応して求める「リスクプレミアム」の値がどの程度かが問題になる。

そのリスクプレミアムに関しては、コロナショック前の比較的安定していた時期(2015~19年)の平均的な値であった、6.8%程度だと仮定すると、現在の株式益回り4.0%、実質金利2.1%では、(1)式から、企業の実質利益の成長率予想は4.9%になっていなければいけないことになる。

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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/5/20の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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新見未来

エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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