公開日 2024年4月1日

日本の物価は今後も持続的に上昇していく

食品メーカーは、ここまで原材料コストなどを製品価格へ転嫁することに成功した実績から、今後も値上げを続けそうだ。食料を自給できない日本の状況から言えば、大幅円高にならない限り、日本の食料価格の割安な状況が続くとは考えにくい。日本の食料価格に対する上昇圧力は続くだろう。
日本の物価は今後も持続的に上昇していく

4月は半年ぶりの食品値上げラッシュ

3月の東京都区部の生鮮食品を除くコア消費者物価は前年比2.4%上昇し、上昇率は2月(2.5%)に比べ鈍化した。

東京都区部の消費者物価は全国消費者物価の先行指標とされる。

この東京都区部の数値から推計すると、4月19日に発表される、3月の全国コア消費者物価の前年比は2.7%となり、2月(2.8%)に比べやや鈍化すると予想される。

全国のコア消費者物価の前年比は23年4月(3.4%)をピークに幾分鈍化しつつあるようにもみえるが、ここまでの物価上昇率鈍化は、政府のエネルギー価格抑制策など、一過性の要因よる部分が大きい。

このあとは再び上向く可能性が高い。

まず、帝国データバンクの調べによると、4月の食品の値上げは2,806品目と昨年10月以来、半年ぶりの値上げラッシュとなる。

昨年11月以降、食品値上げの動きは一服した感があり、実際、昨年に比べて食品の値上げ品目数はかなり減少している。だが、4月の一斉値上げにより、メーカーの値上げが完全に収まったわけではないことが示された。

昨年の食品値上げの理由として、メーカーは、主として、「原材料高」や「エネルギー」といった要因を挙げていたが、今年はそれに加えて、「人件費」「物流費」「円安」などが加わっている。

特に、「人件費」では、最低賃金の上昇のほか、ベースアップなど賃上げ由来の要因が出始めた点が今年の特徴だ。

全国消費者物価のなかの「生鮮食品を除く食品」の前年比上昇率は、確かに、原材料高やエネルギー価格高騰の影響が薄れたため、昨年5~8月の前年比9.2%をピークに2月には5.3%に鈍化した。

東京の消費者物価動向や帝国データバンクの調べからみると、同前年比上昇率は3月に4.8%、4月も4%弱に鈍化する見込みだ。

だが、食品インフレの鈍化がその後も順調に進むとは考えにくい。

食品メーカーは、ここまで原材料コストなどを製品価格へ転嫁することに成功した実績から、今後も値上げを続けそうだ。

日本の食品の価格は確かに大幅に上昇したが、欧米に比べると、値上がり幅は小幅で、円安の影響をも考え合わせると、欧米の食品は日本に比べ5割程度高い(図1参照)。

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食料を自給できない日本の状況から言えば、大幅円高にならない限り、日本の食料価格の割安な状況が続くとは考えにくい。

日本の食料価格に対する上昇圧力は続くだろう。食品の前年比上昇率は少し長い目で見ても3%超の高めの上昇が続きそうだ。

電気ガス料金の負担軽減策終了で年央にかけ0.5%ポイントの物価上昇率押し上げ

一方、年央にかけて、政府の価格抑制策で抑えられていたエネルギー価格の大幅な反転上昇が見込まれる。

まず、電気ガス料金の負担軽減策が終了する。

総務省によれば、電気ガス料金の負担軽減策、いわゆる「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は、ここまで消費者物価を0.5%ポイント(うち電気代は0.4%、都市ガス代は0.1%)押し下げてきた。

5月から6月にかけて同軽減策はなくなるが、これが物価を0.5%ポイント押し上げる。また、再エネ賦課金の単価引き上げも物価を押し上げる要因になる。

再エネ賦課金は昨年5月以降、一時手に引き下げられてきたが、あくまでも一時的な引き下げで、元の増加トレンドに戻る。

昨年はこの引き下げが消費者物価を0.3%ポイント低下させたが、5月からは同程度の反転上昇が見込まれる。

日本では2012年に再エネを普及させるため、FIT(電力固定価格買取制度)が導入された。

FITは太陽光発電など再エネによって発電された電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付ける制度で、買い取り費用は電気利用者から集められる再エネ賦課金によって賄われた。

だが、FITは期待通りの成果を生んでいない。FITでは事業者の生産コストを重視して買取価格が決まっていたため、買取価格は高めになった。

本来、需要と供給のバランスで決まるはずの太陽光パネルなどの市場価格は、この買取価格の水準に合わせて決定され、高止まった。

日本と世界の太陽光・陸上風力発電のコストを比べると、2023年上半期時点で、日本は太陽光が9.6円、陸上風力が17.4円、これに対して世界は太陽光が5.9円、陸上風力が5.6円(資源エネルギー庁資料より)と大きな格差がある。

太陽光パネルなど再エネのコストが下がればその利用が拡大するはずだったが、割高な再エネの普及は思ったほど進まず、一方で、再エネ賦課金の負担ばかりが増えるという結果になっている。

一方、4月末までとされていたガソリン価格等への補助金(燃料価格を抑えるための激変緩和措置)については、5月以降も再延長されることとなった。

同緩和措置は22年1月以降実施され、延長が繰り返されたため、22~23年度に6.2兆円の財政負担が生じている。

また、同緩和措置は化石燃料の消費を増加させる要因になるため、いずれ終了せざるをえない。仮に、この補助金も終了することとなれば、ガソリン、灯油等の価格は約17%程度上昇し、物価を0.3%ポイント程度押し上げる要因になる。

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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/4/1の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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