公開日 2023年11月14日

エネルギーの多くを中東に依存する日本

ハマスによるイスラエル攻撃が、日本経済を危ういものにしていることは間違いない。米欧などによるイスラエル説得にもかかわらず、イスラエルのガザ侵攻が続き、ガザの一般市民の被害がさらに深刻なものとなれば、アラブ諸国の反イスラエル感情がさらに高まることは必至で、イスラエルを支持する西側諸国への反感も一段と強まるだろう。
エネルギーの多くを中東に依存する日本

「イスラエルの自衛権」に関して、G7とアラブ諸国が正反対の声明

アラブ連盟(21か国・1機構)とイスラム協力機構(56か国・1機構)は、11月11日、緊急の合同首脳会議を、サウジアラビアの首都リヤドで開いた。

参加したイスラム諸国は、共同声明で「ガザでのイスラエルの攻撃、戦争犯罪、残忍で非人道的な大虐殺を非難する」と表明した。

上川外相が議長を務めた、8日のG7外相会議の声明では、以下のように述べていた。

「2023年10月7日に始まったイスラエル各地に対するハマス等によるテロ攻撃及び現在も続くイスラエルに対するミサイル攻撃を断固として非難する」

「我々は、イスラエルが再発を防ごうとする中、国際法に従って自国及び自国民を守るイスラエルの権利を強調する」

G7の声明が、イスラエルの自衛権を強調する、イスラエル寄りの主張だったことは明らかだ。

これに対して、アラブ連盟とイスラム協力機構の声明は、イスラエルがガザへの攻撃を「自衛」として正当化することを拒否する、と主張した。

「イスラエルの自衛権」に関して、G7とアラブ諸国が正反対の声明を発表したことになる。

そして、イスラエルとハマスの紛争は、イスラエルを支持する西側先進国とハマスを支持するアラブ・イスラム諸国の対立に発展しつつある。

日本はG7議長の立場で、アラブ・イスラム諸国と対立することになったが、一方で、日本はエネルギーの多くを中東に依存している。

日本経済は大きなリスクに直面していると考えられ、為替市場では米長期金利低下にもかかわらず円が売られているが、日本国内での危機意識はさほど高くないようにみえる。

中東からの石油・LNG輸入が途絶えれば、エネルギー供給の36%が喪失する

日本のエネルギーの中東依存状況について数字でみておこう。

IEAによれば、日本のエネルギー自給率は2022年時点で13%にすぎない。

2010年まで自給率は20%程度で推移していたが、東日本大震災によって原子力発電によるエネルギー供給が停止し、2014年には一時6%に低下した。

その後、原発再稼働や再エネの普及によって自給率は徐々に回復していったが、いまだ東日本大震災前の水準を取り戻せていない。

エネルギー自給率を国際比較すると、国内化石エネルギーの豊富な米国(自給率は107%)、中国(同80%)、イギリス(同67%)などの自給率が高い。

米国の自給率は2005年時点では70%だったが、シェールオイル・ガスの生産増大により100%を越え、計算上、輸入に依存する必要はなくなった。

フランスやドイツは日本と同様、自国の化石エネルギーが少ないが、フランスは原子力発電により、ドイツは再エネにより、それぞれ自給率は49%、35%とある程度の高さを確保できている。

日本の自給率は格段に低い。

資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」によれば、日本の一次エネルギー国内供給(転換などによるロスを含めた全エネルギー供給量)のうち、石油の占める比率は21年度時点で36%だ。

2000年度時点の49%に比べ低下したが、なお高水準だ。

石油比率が低下したのは、原子力や再エネなどの国産エネルギーが増えたからではなく、石炭や天然ガスなど石油以外の化石エネルギーの比率が高まったためだ。

石油、石炭、天然ガスを合計した化石エネルギーの比率は2000年度の81%から21年度に83%と上昇している。

石油、石炭の自給率はゼロ%、天然ガスは2%と、日本は化石エネルギーのほぼ全部を輸入に依存している。そして石油輸入の94%が中東からの輸入だ。

もし、中東からの石油輸入が途絶えるようなことがあれば、日本のエネルギー供給の34%(=36%×0.94)が喪失する計算だ。

LNGの場合、中東からの輸入は9%程度とさほど多くないが、その分を含めると、石油と天然ガスを合計した中東からの化石エネルギー輸入が途絶すれば、エネルギー国内供給は36%が喪失する計算だ。

エネルギー自給率引き上げのための政策は迷走

自給率を引き上げるには2つの方法がある。

一つは・・・

2023/11/13の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。

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