公開日 2023年10月30日

米国経済はソフトランディングに失敗

名目成長率に比べ金利は低く、引き締めになっていない。結局、インフレ懸念の高まりによる長期金利の上昇などに催促される形で、追加利上げに踏み切らざるをえなくなるのではないか。
米国経済はソフトランディングに失敗

成長率4.9%はソフトランディング失敗を意味する

米国経済は緩やかに減速しつつあるという見方が多いが、実際には過熱気味で、そのために、インフレ懸念が再燃する兆しもみられる。

米国の7~9月の実質GDP成長率は年率4.9%と高い伸びになった。

22年以降の年率成長率の動きをみると、ロシアのよるウクライナ侵攻の影響で、22年1~3月マイナス2.0%、4~6月マイナス0.6%と2四半期連続のマイナスとなったが、そのあと、22年後半から23年前半にかけては、22年7~9月2.7%、10~12月2.6%、23年1~3月2.2%、4~6月2.1%と2%台で推移し、成長率が徐々に鈍化していく姿がみられた。

もし、このまま0~1%の成長に鈍化していったのであれば、米経済のソフトランディング成功と言える状況だったが、7~9月の4.9%という数値は、着陸失敗を意味している。

需要項目別にみると、まず、個人消費の強さが際立っており、年率4.0%増加した。その個人消費はGDPを2.7%ポイント押し上げた。

コロナ禍からの経済再開で好調を維持しているサービス消費(年率3.6%増)に加え、コロナ特需の反動で一時、落ち込んでいた耐久財消費(同7.6%増)も大幅に増加した。

モノへの需要が上向きつつあることが、低迷していた製造業の景気にプラスの影響を与え始めている。加えて、隠れた存在ではあるが、政府支出の安定した増加も目立つ。

直近1年間の政府支出の動きをみると、22年10~12月年率5.3%増、23年1~3月4.8%増、4~6月3.3%増、7~9月4.6%増と、安定した高い伸びが続き、持続的な成長率押し上げに寄与している。

7~9月については政府支出はGDPを0.8%ポイント押し上げた。

バイデン政権の積極財政政策が、実は、経済のソフトランディングの妨げになっていることがわかる。

このほか、7~9月は在庫投資の急増もGDPを1.3%ポイント押し上げる要因となった。ただ、在庫投資を除く最終需要の伸びも年率3.6%増と高く、在庫増加は売れ残りによる在庫増ではなく、前向きの在庫積み増しとみるのが妥当だ。

大幅な利上げによって米国景気の鈍化、あるいは近いうちにリセッション入りするはずだと予想するウォール街の市場関係者の見方に対して、企業経営者は景気の先行きに対して強気で在庫を積み増している。

結局、個人消費、政府支出、在庫投資の寄与を合わせると4.8%ポイントとなる。この3つが7~9月の成長を押し上げたことになる。

インフレ懸念再燃の懸念も

インフレに関して言えば、原油価格反発により、食料、エネルギーを含む全体の物価が上昇しているが、そのあとを追う形で、食料、エネルギーを除くコア物価も上昇し始めた。

エネルギー価格上昇により、9月のPCEデフレータは2か月連続で前月比0.4%と高めの伸びとなった。

一方、コアPCEデフレータは6月以降、前月比で0.1~0.2%の低い伸びが続いていたが、9月は全体のインフレ率の上昇を追いかける形で、同0.3%と高めの伸びとなった。

全体の物価であるPCEデフレータが、コア物価(コアPCEデフレータ)の先行指標になっているようにみえる。

これは、以下の理由からだ。

  1. エネルギー価格が上昇したことで、
    そのコストが他の製品やサービスの価格に転嫁されている
  2. エネルギー価格を含めた全体の物価上昇率が再加速したことで、
    期待インフレ率が上昇し、賃金上昇圧力を高めた。

インフレは、実質賃金を下落させ、労働需給を逼迫させ、それが名目賃金を押し上げる。

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理論的には、図1でみる通り、物価上昇による実質賃金下落が、労働供給を減少、労働需要を増加させて、労働需給をひっ迫させ、賃金を上昇させる。

また、実際には、・・・

2023/10/30の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。

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