公開日 2023年10月23日

気になる今後の原油市場動向

現時点では、中東情勢が沈静化に向かうか、それとも悪化に向かうかは五分五分だろう。つまり、原油価格は60~70ドルに下落するか、それとも100ドルを超えてさらに大きく上昇するかも五分五分と考えられる。
気になる今後の原油市場動向

米国のガソリン需要減少やイランの増産により原油需要超過幅は縮小

6月の当レポートで「米金利高とドル高により原油価格は低迷しているが、年後半の原油需給は日量300万バレル以上の大幅需要超過になるため、この需給逼迫が原油価格を100ドルに向けて上昇させる」と書いた。

実際、原油WTI価格は6月の67ドル台を底に上向き始め、9月27日に93.6ドルと昨年8月以来の水準に上昇した。だが、それがピークで、10月5日には82.3ドルと逆に値下がりした。

その後、ハマスによるイスラエル攻撃を契機に、中東情勢の悪化が原油市場を逼迫させるとの懸念から、原油価格は再び上向き傾向で推移しているが、10月20日のWTI価格は88.8ドルと、9月27日の高値を下回っている。

原油価格は予想通り上昇したわけだが、予想に反して100ドルを手前に反落した。

なぜか。この間、原油市場でどういう変化が起きたのかをみてみよう。

世界の原油需給

まず、世界の原油需給をみると、年後半の世界の原油需給については、6月時点では日量320~330万バレルの需要超過を見込んでいたが、直近の予想では、需要超過幅は120~130万バレル程度に縮小している。

日量100万バレルの需要超過が3か月続けば、世界の原油在庫は0.9億バレル(100万バレル×90日)減少する。

また、世界の原油在庫が1億バレル減少(増加)すると、原油価格は12ドル上昇(下落)するというのが過去の原油在庫と原油価格の関係だ。

これらを考え合わせると、日量100万バレルの需要超過が3か月続けば、原油価格を11ドル上昇させる計算になり、日量300万バレルの需要超過が6か月続けば、原油価格を66ドル上昇させる計算になる。

日量300万バレル超の需要超過が見込まれていた6月時点では、原油価格は60ドル台から66ドル上昇し100ドルを大きくはずだったが、需要超過幅が120~130万バレルであれば原油上昇幅は30ドル弱にとどまり、100ドル台乗せは危うくなる。それが需給面で起きたことだ。

需要・供給の両面

さらに、需要、供給両面を詳しくみてみよう。6月のIEA”Oil Market Report”によれば、23年10~12月の世界の原油需要は1億350万バレル(うち先進国は4,660万バレル、新興・途上国は5,690万バレル)と予想されていた。

ところが、10月の同レポートでは1億260万バレル(うち先進国は4,600万バレル、新興・途上国は5,650万バレル)と、世界の原油需要予想は約100万バレル下方修正された。

数値でみる通り、先進国、新興・途上国ともに需要予想は下方修正されている。

世界の原油需要鈍化は、景気減速が取りざたされている中国の原油需要の落ち込みによるものだとの解説もあるが、間違いだ。

中国の原油需要は6月時、10月時ともに1,660万バレルと同水準で、下方修正されているわけではない。

確かに、今年の世界の原油需要は昨年に比べ200万バレル増加する見込みで、うち中国の需要増加幅は140万バレルだ。計算上、世界の需要増加の7割が中国によるものであることになる。

ただ、こうした「計算」になるのは、昨年のゼロコロナ政策により、中国の原油需要が異常に落ち込んでいたためであり、今年の中国の需要増加はその反動にすぎない。

中国景気は確かに減速しているが、旅行需要などは旺盛であり、原油需要は思ったほど落ち込んでいない。

原油需要が落ち込んでいるのは、景気が予想以上に堅調な米国の方だ。米国のガソリン需要は8月頃までは増加傾向を辿っていたが、9月に入って急失速した。

ガソリン需要の鈍化が、米景気減速を反映したものなのか、それともガソリン価格の高騰に対応した消費者の一時的な車離れなのかは、現段階では明らかではないが、ガソリン消費は明らかに減少している。

米国内のガソリン在庫はガソリン需給緩和を反映して9月に入り増加に転じた。全米ガソリン平均価格も9月17日の3.88ドル/ガロンをピークに下落している。

中東情勢悪化を反映して上昇に転じている原油WTIの動きとは違い、足元でも下落傾向は続いている(10月20日時点では3.56ドル)。

一方、世界の原油生産については、・・・

2023/10/23の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。

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新見未来

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