公開日 2022年12月19日

中国経済停滞で台湾有事が早まるおそれ

中国の国内経済の混乱が続けば、国民の体制批判をそらすため、習近平氏は国民の目を外に向けさせる可能性がある。懸念されるのは台湾有事だ。
中国経済停滞で台湾有事が早まるおそれ

ゼロコロナ政策の緩和により予想通り感染者が急増し混乱

中国の動向から目が離せなくなってきた。まず、経済は低迷している。

中国の実質GDP成長率は22年7~9月に前年比3.9%と上海市の都市封鎖などで落ち込んだ4~6月(同0.4%)から回復した。

だが、10~12月は再び大きく落ち込む兆しがある。景況感を示す製造業PMIは10月49.2、11月48.0と景気判断の分岐点である50を2か月連続で下回り下落している。

上海都市封鎖時の4月には同PMIは47.4まで下落し、50割れは3~5月の3か月間続いたが、同程度の景況感悪化が続いていることになる。

中国経済悪化はゼロコロナ政策のせいだという見方が多い。

確かに、厳格なゼロコロナ政策は社会経済活動を停滞させているが、だからと言って、同政策を撤廃すれば景気が回復するわけではない。

ここへきて各地で起きたゼロコロナ政策反対のデモに対応して、当局は、12月7日、とうとう同政策の大幅緩和策に踏み切った。

感染者を病院や隔離施設に移す措置を見直し、無症状や症状の軽い人は自宅での隔離を認めることとした。

また、PCR検査の範囲や回数を減らし、省や自治区などを越えて移動する際の陰性証明を求めないことにした。

ゼロコロナ政策は、極端に言えば感染者が一人しかいない場合でも、ロックダウンに近い厳格な隔離を実施し感染を封じ込める政策だ。

当初の毒性の強い武漢株やデルタ株に対しては同政策が成功を収めた。

しかし、感染力が強い反面、重症化リスクが少ないオミクロン株への対応としては、コストが大きすぎ適切ではない。

中国で使われている国産ワクチンはその効き目が疑問視されている。

また、これまでのゼロコロナ政策で実際の感染者も少なかったため、中国国民の平均的な免疫レベルが低く、自然に感染が収まる「集団免疫」のレベルに達していない。

そうした状況でゼロコロナ政策を緩和・撤廃してしまうと、急速に感染が広がるおそれがある。

中国の医療体制は必ずしも充分とは言えないため、感染が広がれば、それが社会に混乱をもたらすおそれもある。

今年6月7日のレポートで紹介したが、Nature Medicine誌(2022/5/10)掲載のJun Cai氏らのモデル化による研究(“Modeling transmission of SARS-CoV-2 Omicron in China”)によれば、以下のように述べていた。


もし中国が現在実施中のゼロコロナ戦略を解除した場合、
オミクロン株による大規模な感染拡大が起こって、死者はおよそ155万人、
集中治療室に対して推定される需要はピーク時で
現在の収容能力の15.5倍に達する可能性がある


中国でも人口の9割以上がワクチン接種を受けているが、このワクチンで得られた免疫だけで感染拡大を防ぐことは不十分というのがその理由だ。

このままゼロコロナ政策が撤廃されれば、この研究通りの結果になりそうだ。

習近平氏はこれまで、ゼロコロナ政策のおかげで感染封じ込めができ、中国は西側先進国に比べて感染を抑えることができたと、その優位性を主張し続けてきた。

今回はガス抜きの意味もあって部分的に同政策の緩和に踏み切ったが、今後、感染が広がるようなら、再度の厳格なゼロコロナ政策に戻る可能性があるだろう。

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2022/12/19の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。

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