公開日 2022年7月11日

歴史は繰り返すのか?

安倍政権で決まった集団的自衛権に加えて、アベノミクスが遺した日銀による財政ファイナンスによって、日本が戦争に巻き込まれるリスクが強まっている。
歴史は繰り返すのか?

アベノミクスは東日本大震災で落ち込んだ景気を回復させただけ

2012年12月に安倍元首相が掲げたアベノミクスは、以下の3本の矢によって日本経済をデフレから脱却させることだった。

(1)大胆な金融政策
(2)機動的な財政政策
(3)民間投資を喚起する成長戦略

では、その成果はどうだったのか。確かに、この3本の矢の政策が打ち出された当初、日本の景気は盛り上がった。

だが、当初の景気回復は、日本経済がリーマンショックとそれに続く東日本大震災の影響で大きく落ち込み、陰の極にあったためだ。

事実上の日銀の財政ファイナンスという禁じ手を含めた財政金融面での景気刺激策、つまり教科書通りの、不況を脱するためのケインズ政策が景気を回復させた。

しかし、その後の高成長は続かなかった。ケインズ政策は景気が大きく落ち込んだ状態の不況下では効果があるが景気が回復したあとでケインズ政策を続けても効果は薄い。

つまり、落ち込んだ景気を回復させるための、(1)大胆な金融政策と、(2)機動的な財政政策、はうまくいったが、景気回復後の成長持続のための(3)民間投資を喚起する成長戦略、がうまくいかなかったということになる。

シュンペーター氏が唱える「創造的破壊」の理論(経済発展というのは新たな効率的な方法が生み出されれば、それと同時に古い非効率的な方法は駆逐される、つまり、古いものを破壊し新しいものを創造していく資本主義のダイナミズムだとする理論)からもわかるように、成長のためには、競争を通じた淘汰が必要だ。

日本では労働市場の流動化や産業構造の変革など、痛みを伴う構造調整政策が必要だったが、政府、日銀は物価下落(デフレ)が景気停滞の原因だとみて、経済成長のため物価を押し上げることにだけ注力し、構造調整政策を怠った。

だが、物価が上がれば経済成長も続くという考えは的外れだった。今や、エネルギーや食料価格の高騰や円安により、日本のインフレ率は確かに目標の2%を上回った。

一部の「リフレ派」は、こうしたコストプッシュ・インフレでも、物価高が続けば期待インフレ率も高まり、賃金も上昇してくるはずだと言うが、非現実的な見方だろう。

安倍政権下で、雇用は確かに増加した。これは、観光業など、人口が減少する日本にとっては、比較劣位の労働集約型産業を振興するという、標準的な比較優位の考え方からすれば、明らかに間違った産業政策がなされたためだ。

結果として、日本経済は労働力不足に陥るとともに、労働者の平均賃金が低下した。

労働生産性が低く、賃金も低い、観光業などの比率が高まったため、日本経済全体としての労働生産性が低下し、労働者の平均賃金も低下したわけだ。

労働生産性が高まらなければ、実質賃金も高まらない。一方、安倍政権では、トリクルダウン仮設を信じ、法人税減税などで経済成長率を高めようとした。

だが、実際にはトリクルダウンは起きず、格差が拡大し、特に、日本では中間層の所得が大幅に減少し、貧困率が高まった。労働者の所得環境悪化は社会不安を高める要因にもなっている。

日本経済は長期停滞状況から抜け出しておらず、GDPや一人当たり賃金などは、ほとんど横ばいの状態が続いている。

ひいき目にみても、当初の目論見通りの「デフレ脱却」が実現しているとは言い難い。

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2022/07/11の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。

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エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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