公開日 2021年10月25日

イギリスが11月利上げへ

中立派であるイングランド銀行・ベイリー総裁のタカ派寄りの発言の意味は大きく、総裁の発言は、11月4日会合に向けた利上げの地ならしと考えられる。
イギリスが11月利上げへ

ベイリー総裁が利上げへの地ならし

10月に入り、イギリスの利上げ観測が急速に高まっている。きっかけになったのは、7日の、
イングランド銀行、チーフエコノミストのヒュー・ピル氏の発言だ。 

ピル氏は議会財政委員会の質問に書面で答えて、

「金融政策は潜在能力を最大限に生かす経済活動のレベルを支えることを目指すべきだ」としながらも、

「私の見解ではリスクバランスは現在、インフレ見通しに対する大きな懸念へとシフトしつつある」
「現在のインフレの勢いは当初に予想されたよりも長く続くとみられる」
「経済へのリスクはここしばらくに比べはるかに両方向になっている」
「その結果として政策決定はより微妙なバランスの上に立つことになる」と述べた。

ピル氏は9月の会合では政策据え置きに票を投じており、最近の経済環境変化が同氏の見方を変えたようだ。ピル氏に続いて、イングランド銀行・ベイリー総裁と金融政策委員(MPC)メンバーのマイケル・ソーンダース氏も相次いでインフレに言及した。

ベイリー総裁は、英紙ヨークシャー・ポストとのインタビューで、

「イングランド銀は9月会合でインフレ率が10~12月に4%を超えると予測していたが、われわれの予測を見ると、残念ながらさらに上昇するとみられる」

「高インフレが恒久的に根付くのを防ぐことが必要だ。そうなれば非常に有害だからだ」と述べた。


ソーンダース氏は、テレグラフ紙に、

「生産能力逼迫と賃金上昇によってインフレが加速している」
「金融政策で対応しなければさらに持続的なものになる恐れがある」
「市場が従来想定よりも早期の利上げを織り込んだのは適切だと思う」と述べた。

ソーンダース氏は前回の政策決定会合で、債券購入を直ちに停止することを主張したタカ派のメンバー2人のうちの1人で、必ずしも、金融政策委員会の平均的な見方を反映しているとは言えない。だが、中立派であるベイリー総裁のタカ派寄りの発言の意味は大きい。


ベイリー総裁は、さらに、17日のオンラインでの会合で、

「中銀には供給混乱の問題に対応する手段はなく、最近のインフレ加速は一時的だと依然考えているが、金融当局者は上昇するインフレ期待が定着するのを防ぐことを目指す必要がある」

「エネルギー価格の上昇がインフレを長期化させ、年間の数字に長期的に影響する結果になるのは当然」

「それが中銀にとってインフレ期待定着への懸念を高めている。だからこそわれわれ英中銀は、行動する必要があると示唆してきたし、これも新たなシグナルだ」と、利上げ姿勢をはっきりと打ち出した。

現在の金融政策委員会の見方は一致しているわけではないとみられるが、こうした総裁の発言は、11月4日会合に向けた利上げの地ならしと考えられる。

移民の減少と非労働力人口減少により労働需給が急速にひっ迫へ

イギリスの現在の経済状況をみてみよう。ワクチン接種による経済活動再開で、4~6月の実質GDPは前期比5.5%増と大幅に増加したが、この水準は、なおコロナ前の19年10~12月を3%程度下回っている。

エコノミストのコンセンサス予想によれば、実質GDPは7~9月、10~12月にそれぞれ前期比1.5%程度増加するとの予想で、予想通りだとすれば今年10~12月にコロナ前の水準に回復することになる。

雇用は回復基調にあるが、失業率は20年12月に5.2%に上昇した後、21年8月に4.5%と低下した。これも、やはりコロナ前の19年12月の水準(3.8%)を上回っている。

インフレ関連指標で言えば、9月のエネルギー・食品を除くコア消費者物価前年比は3.1%上昇、8月の週当たり賃金増加率は5.6%上昇といずれも高い伸びを示している。ただ、これは前年の落ち込みの反動による部分も大きい。

図1は、そうした点を考慮して、コア消費者物価と賃金について2年前比年率の上昇率をみたものだ。

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2021/10/25の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」をご覧ください。

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エコノミストとして、シンクタンク、投資顧問会社などで経済分析、資金運用とアセットアロケーション業務に携わる。

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