公開日 2021年7月8日

為替を動かす要因は3つだけ

通常、為替市場を動かす要因というのは色々ありますが、私のモデルでは、3つでほぼ市場変動が説明できます。今回は、為替を動かす3要素の基本について解説していきます。
為替を動かす要因は3つだけ

為替を動かす3要素の基本についての動画解説はこちらをご覧ください。(約12分)

主要通貨の騰落

これはある週の主要通貨の騰落です。この動きの中に為替を動かす3要素を持ち込んで考えてみましょう。

縦軸が騰落、横軸に通貨です。このようなデータから、 規則性この先の再現性をみつけるのが重要です。さらに、その規則性を見つけて、それが続くのかどうかということを解釈することが1番重要です。

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この1週間ですと、ポンドだけが下落であとは上昇し、ドルが反落しました。その上昇通貨の上位を見てみると、スイスフランで1.94%、ユーロで1.2%、円で0.94%となっています。これらから法則性がはっきりと見えます。

まず上昇の上位3つ(スイスフラン、ユーロ、円)ですが、共通することは、中央銀行がありマイナス金利の政策を引いていることです。そのため、ここまでのドル高の資金調達通貨、つまり、ファンディング通貨として機能してきたわけです。その流れが一巡して巻き戻されました。このことを、アンワインドと言います。

もう一つ挙げるとすれば、スイスもユーロも円も、経常黒字国また経常黒字圏です。ドル高が一巡すると、どうしても五月雨的に通貨買いが湧いてきます。今回上昇したこの3通貨ですが、いずれも共通項があったということになります。

為替を動かす3要素

基本的に、為替を動かす3要素というのは、私はこの3つだけだと思っています。
金利投機需給です。

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政治が為替を動かすものだと言われますが、政治はこの3要素を外側から動かす、つまり、ドライブする要因と考えていただくと、わかりやすいと思います。政治は、直接、為替を動かす要因ではないのです。

為替を動かす3要素の波及経路

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中央銀行が、景気の波を受け、金利の操作をします。景気過熱してくると金利を引き上げ、景気後退になると金利を引き下げます。

こうした金利の変動があると、需給に影響が出てくるので、こうした動きを見越して「投機」が先回りをします。

そして投機が加速したり減衰したりすることによって、為替市場が動くというモデルです。

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例えば通貨A と 通貨Bがあります。その通貨Aの金利が5%、通貨Bの金利が2%あったとします。つまり両者、通貨Aと通貨Bの間で金利差が3%生じていることになります。

通常ですとこの3%が大きいか小さいかというのは、為替市場のボラティリティ(変動率)によって、その旨味が相殺されたり、加速したりします。

仮に、もし通貨Aと通貨Bが固定相場であったとき、世界中の資金が通貨Aに流れます。それはなぜか。通貨Bでファンディング(資金調達)をして通貨Aで運用してしまえば、ノーリスクで3%入るわけですから、そこに投機が見越して、お金が流れたり元に戻ったりするということです。
・金利差を狙っていくことを「イールドハンティング」または「 イールドハント」
・通貨Bを売って通貨Aを買うことを「キャリートレード」
・通貨Bのことは「資金調達通貨」または「ファンディング通貨」
と言います。

需給

需給とは、簡単に言ってしまえば、売りと買いのバランスと言えます。

これは、実需とも言えます。「当面、反対売買が持ち込まれないもの」と定義で、「売ってしまったら、売り切り。買ってしまったら、当面買い切り。」そういった資金フローのことです。

貿易決済

具体的には、貿易決済です。商品を輸入するときは、その代金を払うために外貨を買います。

輸出をするときは、外貨建てで輸出しますから外貨が入ってきます。その外貨を円に替えます。このこと円転といいますが、一度、売買を持ち込まれると反対売買が必要ありません。

証券投資

次に、外国株投資、外国債券投資などの証券投資です。

これらは、かなり後になってから、反対売買が持ち込まれますが、基本的にはこれも需給、実需です。

企業買収

あとは、企業買収です。日本の場合は少子高齢化で国内に大きな収益を見込める案件がありません。そのため、どうしても成長を求めて海外にお金が流れていきます。

一昨年は、武田薬品工業がシャイアーという製薬会社を買って7兆円というお金を使いました。こうした事例では、一度、円売りが起こると、当分円買いには戻ってきません。やはりこれは、外貨買いだったということになります。

不動産投資

あとは不動産投資です。これは、対外直接投資と言います。日本の財務省が定期的に統計を出しているので、こういったもので、計ることができます。

インフロー(中に入ってくる資金フロー)、アウトフロー(外に行くフロー)のネット(相殺)した部分が需給です。

投機

投機というと、何やらちょっと怪しいイメージが漂います。投資とは違ったイメージですが、投機とは何かというと「実需の裏付けがないもの」です。

先ほど、実需の裏付けがあるものを説明しました。あれらは、当分反対売買が持ち込まれないものでしたが、投機の場合は、「将来のどこかで必ず反対売買が持ち込まれるもの」です。

買いに対しては、転売で応じなければいけなく、売りに対しては買い戻しが必要になってきます。

日本の外国為替投資家のことをミセスワタナベと言っていますが、彼ら彼女らも、立派な投機筋です。なぜか。実需の裏づけはなく、売買差益を稼ぐこと、キャピタルゲインを稼ぐこと、これに終始しているからです。

重要なのは、投機というのは必ず反対売買を伴いますから、超長期では実は中立要因であるということです。いずれなくなります。

そして、正確な投機量というのは計測不能です。これは自分のモデルをつくって測るしかないということです。一つ参考になるのは、 CFTCの残高です。CFTCというのは米国の商品先物取引委員会の略で、米国内の各取引所に週に1回、取引残高の報告を求めるように義務づけています。

こうした中では、シカゴ・マーカンタイル取引所でも、毎週火曜日の引け時点の残高を公表しています。俗に言うシカゴ通貨先物市場の残高です。

必ずしもこれは、全体の投機を詳細に表しているかと言うと、微妙なところではあります。ただ、全体の縮図と考えると、ある程度参考になると思います。完全に無視するのではなく、うまく付き合っていくとよいです。

外国為替市場の1日の出来高(約6.6兆ドル)

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外国為替市場の1日の出来高は、約6.6兆ドルです。これは、国際決済銀行(BIS)が3年おきに出していますが、直近のグラフです。

日本の GDPがだいたい5兆ドルということを考えると、1日6.6兆ドルできるということは、かなり大きいことが分かります。そのうち投機の占める割合が、95%ですから投機の増大と減衰というのは看過できません。

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こちらのグラフは具体例です。赤線がドル円の変化、そして青い線が投機量の変化だと思ってください。とある地点で、両者がスタートし、投機が加速します。

投機が加速するということは、この場合はドル買い円売りということになります。投機が加速することによって、ドル円の水準が徐々に上がっていきます。そして投機がピークを迎えて元の水準に戻ったとします。ドル円も投機量の減衰に伴って、ドル円の価格も落ちてきたとします。

ここで投機が元の水準に戻った時に、ドル円の当初の差は、当然上昇幅が残っていたとします。これはどのように考えるかというと、投機が0になってドル円が上がっていたということなので、ここの価格の変化は、金利と需給からもたらされた変化量ということになります。

為替は自然には動きません。前述した3つの要因が、微妙に絡みあって動かしています。

ドル円を買うということは、その取引の向こう側には売りがいます。これは95%投機ですから、お互い投機の可能性が大きいわけです。そうすることによって、ポジションが偏ってきます。ポジションが偏ってきて、そこに実需が絡んできますからさらにポジションが偏っていきます。

投機というのは増大と減衰を繰り返しながら、為替の動きを左右してくるので、3要素を意識していくと為替の変動が理解できてくると思います。

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プロフィール

竹内のりひろ

竹内のりひろ

元外資系銀行チーフディーラー。 エフピーネット(株)インベストメントアドバイザー。 為替・金利など幅広いアプローチからの独自の相場展望をできることが強み。

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