公開日 2020年10月9日

レオパレス21事件に思う事

レオパレス21の事件は官庁の検査よりも、建築主サイドの監理が大切なことを教えてくれます。
レオパレス21事件に思う事

最近アメリカのファンドがレオパレス21の支援を表明しニュースとなりました。債務超過に陥り危惧されていましたが、当面破綻が回避されたようです。とは言え予断は許されません。

瑕疵が全ての物件で解消されるのか、ファンドの利益獲得の道具で終わるのか。いずれにしても被害者の苦悩は長く続きそうです。

記憶に新しいと思いますが、レオパレス21の事件は対象の建物があまりに多く、そのずさんさからも社会的に注目を浴びました。設計施工を行った集合住宅で施工不備が発覚し、調査が進むに従い建築基準法や消防法令上の違反が続々と見つかりました。

外部調査委員会の最終報告では、全社的、組織的不正が認定され確認済証をだまし取っていたとまで断じました。そしてその背景として事業拡大を優先し、ワンマン体制に陥り、順法意識が低く当事者意識も欠如していたと結論付けました。

社長自らがありもしない資格である特級建築士を名乗り、無知と欲をばらまいたのです。この事件は建築資産を得る上で忘れてはならない事件だと思います。

検査済証はだまし取れるのか

検査済証をだまし取ったと断じていますが、役所や検査機関が完了検査でなぜ分からなかったのでしょうか。界壁は天井を覗けば確認できます。覗かなかったのか、覗けなかったのか。防火性や構造上の基準を満たしていないことも後に見つかってきます。

このことは官庁関係の検査だけでは品質の確保が不十分であることを物語っています。官庁の完了検査は、監理者が建築基準法や消防法等関係法令を満足しているか否かを確認し、問題がないことを確認した上で行うことになっています。

監理者が確認し不正や間違いがないことを前提に、検査官が完了検査を行うのです。検査対象が直接目視できない場合は、提出された写真や資料により確認することになりますが、それらに不正があれば正しい検査になりません。

隠れてしまったところに不正があったとしても見抜くことは難しく、レオパレス21の監理者が嘘をつき隠蔽してしまえば、検査済証をだまし取ることが可能なのです。

建築主サイドの監理がいかに大切なものか

そもそも長い月日をかけて作ってきたものを、その過程を見ることができず、見るべきものが隠れてしまっているものもある中での検査です。全てを目視することができず、官庁検査に多くを望むことはできません。

私たちの監理では隠れてしまう前に自分の目で見ることを基本にしています。界壁の問題にしても、工事の途中であれば簡単に目視確認することができます。

監理者が着工から竣工まで工事の進捗に合わせ、その時々に検査を実施しなければ品質を確保することはできないのです。

また、役所が検査をするから監理者はいらないと考えている方も存在します。しかし、実態は逆であり官庁の検査だけでは品質を担保できないことを、レオパレス21の事件は教えてくれます。

この一連の不祥事で監理をすべきであった建築士達は、違法建築を見逃したとして建築士免許の取り消し処分を受けています。検査官をだますのですから、建築主をだますことは簡単なことです。

設計施工一貫方式で施工者サイドに立つ監理者が、建築主をだまし官庁をだましてまで何を目指したのか、闇の深さを感じずにはいられません。

よりよい建築資産を得る上で建築主サイドに立った監理が、いかに大切なことかこの事件を通してご理解いただけると思います。

利益至上主義、順法意識の欠如に対抗するには

会社にとって不都合なこと、契約に不都合なことは建築主には伝えない。工事中のみならず設計中も同様に会社にとって利益になるよう誘導し、都合の悪いことはあえて伝えることはしない。現場任せで監理も行わず違法状態も気にしない、隠蔽する。建築主の利益より会社の利益をいかに確保するか。さしずめこのような事でしょうか。

工事や監理にとどまらず、事業計画までも実行性がともなわないものを提示し、甘い言葉で勧誘し契約さえしてしまえば勝ちという風潮も否定することはできません。

約束が守られず後に裁判に発展したり、自己破産に追い込まれたりする事例も後を絶たちません。ネット上でも注意喚起の記事が数多く見受けられます。

レオパレス21の問題は、設計施工一貫方式には大なり小なり潜んでいるもので、関わってしまえば被害を避けることができません。

だましの要素が潜むビジネスモデルには近づかないことが理想です。やむなくかかわらざるを得ない場合は、それなりの体制を整えなければなりません。

隠し事に対して本当のことは専門的な知識がなければ分かりません。早めに発見し、不利益を被らないようにする努力が必要でしょう。

そのためには契約であれば弁護士を、事業収支であれば会計士や不動産コンサルを、建築全般は建築士を、自分の味方になり助けてくれる者を横に置くことが必要ではないでしょうか。

何はともあれ、丸腰で戦うのではなく、自らを守る術を身に着けることが必要であろうと思うのです。建築工事にまつわる不祥事はこれからも尽きることはなく、どこで被害者になるかわ分かりません。

レオパレス21の被害者と同じような苦悩を味わわないためにも、この事件を教訓として建築資産を得る時にどのようにしたらよいのか、今一度考える必要があると思います。

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プロフィール

伊能義明

伊能義明

40年近くにわたり建築の分野で多様なプロジェクトに参画。デザインや監理を通して、お客様の利益や社会に貢献する事を信条とし活動を続けている。

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