公開日 2024年1月5日

ドル円相場には多くのチェック要素有り!

24年が世界経済や国際関係において極めてボラティリティーの高い1年と想定される。情報ベンダーには相当のウエイトを置いて、個人投資家をウォッチしなければならない。
ドル円相場には多くのチェック要素有り!

24年のドル円相場を見通すのは至難の業である。1-3月までの予測とは明らかに異なる。

米国経済成長動向、FF金利の推移、日銀の金融政策正常化へのタイミングといった、最も注目される要因はもちろんだが、ウクライナ戦争、パレスチナ・イスラエル戦争、米国大統領選挙といった皆目、見当もつかないイベント・リスクも重なるし、世界GDP2位の中国を巡る米国との経済対立の行くえも見逃せない。

したがって、ここではいくつかのベーシックな要素について重要な視点を記して置きたい。こうした要素は、そのときどきにおいて相場形成要因のウエイトが変わり、市場の見方は刻々と乗り換えられていくものである。

したがって思い込んだ尺度の違いから「サプライズだ」・「真逆のレートだ」とのコメントになる局面も少なくない。つまり、「自己責任」という重い言葉が外為市場に横たわっているのは当然なのである。

購買力平価では円高ドル安方向

為替相場に関連する経済ファンダメンタルズの一つとして、長期的な視点から購買力平価(PPP)が挙げられる。

これは一般的に「一物一価」を表しており、長い目でみると相対的に、物価上昇率が高い国の通貨が安くなる傾向があることを示している。短中期的にはPPPから外れた動きは見られるものの、長期的なトレンドを押さえる上で注目されている。

特に、2022年以降、日米欧などでは歴史的な物価高騰に直面し、PPPも変化した。

例えば、米国のCPIは22年6月に前年同月比+9.1%と1981年11月以来の高水準を付けた一方、日本のCPIは+2.4%にとどまった。

相対的に米国のCPIの方が高く、その分ドルが通貨としての価値を損なうため、長期的な視点から円高ドル安圧力がかかっていたと考えられる。

しかし、PPP以外の要因の影響が強く、実際の円相場は真逆の円安ドル高に振れていた。22年半ば以降、米国のCPI上昇率が縮小するにつれて日本のCPIとの差も縮まった。23年6月になると日本のCPI(+3.3%)が米国(+3.0%)を上回った。

それ以来、ガソリン価格の影響などから再逆転があったものの、日米のCPI上昇率の差が縮小、すなわち物価上昇率の相対的な大小関係が小さくなったため、長期的な視点からの円高ドル安圧力が緩和しているといえる。

ただし、足下の円相場が長期的な趨勢であるPPPから大きく外れているため、それに回帰するような円高ドル安に圧力がかかることになるだろう。

24年には、物価上昇率の縮小を踏まえると、PPPからの円高ドル安圧力は継続するだろう。

PPPが表す対ドルの円相場は足下で1ドル=約100円であるため、実際の円相場はそれに比べて大幅に円安ドル高方向で推移している。

中長期的にはPPPに回帰するような力が働くとみられ、円相場には円高ドル安圧力がかかりやすい地合いがある。

マネタリーベースでは円安ドル高圧力

中期的な視点からマネタリーベースの動向が注目されている。

マネタリーベースとは、中央銀行が直接、市場に供給する資金であり、日本の場合は日銀券発行残高・市場流通貨幣量・日銀当座預金残高の合計である(約670兆円)。

米国が量的引き締めをし、日本は量的緩和を実施している中で、足下では両国のマネタリーベースは横這い圏を推移している。米国では23年3月に地方銀行などの経営不安が拡大し、一時的に資金供給を行った。

また、日本では2022年12月にYCCの運用上の修正を行ってから、長期金利の変動を抑えるために機動的に国債買い入れオペを実施してきた。

そうした資金供給が結果としてマネタリーベースに現れていると考えられる。ただし、当面、米国ではマネタリーベースが拡大する方向にはない。

24年12月のFOMCでも量的引き締めベースについて計画通りに進めることになっている。金融引き締めといっても、政策金利の上げ下げと量的引き締めは別立てで運用されているようだ。

日銀も、金融政策決定会合の声明文で「マネタリーベースについては、コアCPIの前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する」と、記載しているものの、積極的に拡大させる状況ではなくなっている。

長期金利が安定的に推移すれば、定例の買い入れオペを超えるような金額を市中から、買い入れる動機付けはなくなっている。

金融引き締めに舵を切っている米国と、金融緩和を継続する日本という構図から、マネタリーベースを通じて、円安ドル高圧力がかかりやすい状態になっている。

24年については、米国では量的引き締めが継続するとみられる。その一方で、日本では期待を膨らませているマイナス金利解除をしたとしても、量的引き締めまで歩みを進めることは難しいとみる。

24年には軟着陸が予想されているとはいえ、米国が景気減速から景気後退に陥り、利下げのスピードをアップしている可能性もある。そのときに、日本のみが金融引き締め姿勢を強める展開も想定できる。

そのため、マネタリーベース要因からみれば、当面こそ円安ドル高圧力に軍配が上がっても急転するリスクは十分にありうる。

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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/1/4の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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プロフィール

金森薫

金森薫

国際エコノミスト。元外為・債券・株先ディーラーという実践経験を生かした経済分析、マーケット分析。

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