公開日 2023年11月8日

FOMCとBOJ会合でドル円はどうなる?

岸田首相が指名した植田総裁が、総合経済対策にブレーキをかける「利上げ」政策を、打ち出すわけにもいくまいとの読みもある。「所得税減税は来年6月の実施。そして9月には自民党総裁選がある、岸田政権崩壊も視野に難しい判断を日銀は強いられる」とした心境だろう。しかし、仮にドル円相場が154円以上の円安となれば、日銀も立ち上がらざるを得まい。
FOMCとBOJ会合でドル円はどうなる?

FOMCはドル安要因へ

11月FOMCのポイントを記すと以下の様になる。

声明文では、今利上げ局面では初となる2会合連続の政策金利据え置きが示され、FF金利のレンジは5.25~5.50%から不変。

市場の予想通りとなった。声明文のその他の部分については、足下の良好な統計結果を反映して景気と雇用の認識が上方修正。

議長の記者会見では前半に現状の金融環境が十分制限的との確信はないことや、12月やそれ以降の追加利上げの可能性に言及し、利下げも今は全く考えていないと発言。景気の驚くべき回復力から引き続きタカ派的スタンスを強調。

しかし、その後に金融政策のタイムラグには不確実性が大きい点や金融政策のリスクバランス(不十分な金融引き締めのリスクは後退)が中立的になった点、中立金利(景気の巡航的レベルを形成する金利)の想定の下での政策決定は不可能、等に言及。

これがハト派的と金融市場に捉えられた可能性。今後のさらなる追加的な引き締め措置実施は高くないと市場では受け止められた模様。

FOMC後の金融市場の反応はハト派的な受け止め方だった。債券市場では早ければ来年7月からの利下げ期待がやや強まり、長期ゾーンの金利が低下。

これを受けて、株価は金利に敏感なグロース株中心に上昇。ドル円レートも、ようやくドル安に反応した。

まとめると、今回のFOMCのではFRB議長は強すぎる景気や未だ旺盛な労働需要、供給側主体(労働参加率の上昇など)のインフレ減速である点を踏まえ、金融環境がまだ十分制限的であるとは確信できないため、来年の追加利上げの可能性にも言及し、一見さらにタカ派的なスタンスを強めたかに見えた。

しかし実際には、今後の追加利上げは先週号でお伝えした通り、10月10日のIMF報告(世界2位のGDP大国でサプライチェーンが国際的に根付いている中国の金融不安に言及)を重視し、これで利上げ打ち止めを決意したものと思われる。

したがって市場はインフレ減速の継続も重ね利下げへの転換時期を探るように、争点を変えていくことになりそうだ。

ただ、「IMF報告」が今回のFOMCの真の背景だとするエコノミストは、ほとんどいないし、「論理的でない」とする市場の見方は当然かもしれない。

では、真っ向から捉えての背景としては何を挙げるべきか。2つある。

(1)実質長期金利上振れによる利上げ見送り

SF連銀デイリー総裁や、ウォラーFRB理事らが指摘したように、足下では実質長期金利(名目長期金利-インフレ期待値)が大きく上昇し、さらなる政策金利の引き上げが肩代わりされたと考えられる。

実質金利上昇の背景は景気の底堅さによるFRBの高金利政策の長期化観測の高まりに加え、
財務省の国債続発懸念と政府閉鎖リスクなどによる国債格付けへの懸念が主因とみられる。

足下ではタームプレミアム(国債需給がメイン)が上昇している点が特徴的だ。

FRB議長は具体的な数値には言及しなかったが、長期金利上昇による金融情勢の引き締まりや、金利コスト増が家計や企業の負担になると言及しており、利上げが代替されたと捉えていたとみられる。

(2)供給要因によるインフレ減速が進展

FRBが最も重視しているインフレ指標であるコアPCEデフレーターの推移をみると、9月までの結果では減速傾向が続いた。

FRB議長が重視する家賃を除くサービス価格も減速に向かっている。ウォラー理事が以前指摘した利上げ停止条件(コアPCEデフレーターに3%を割込む)も、クリアーしている。

現状のインフレ減速に関して、FRB議長は潜在成長率のキャッチアップ、すなわち供給側の拡充(移民増などによる労働供給の増加)が大きいとの認識を示しており、これにより失業率や景気の大幅悪化も回避しているとの認識を示した。

もちろんFRB議長は供給要因による景気拡大と物価減速の両立の持続性を楽観視はしておらず、だからこそ制限的な金融政策で需要側を抑制し続ける必要性を指摘した。

しかし、・・・

続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2023/11/06の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。

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金森薫

金森薫

国際エコノミスト。元外為・債券・株先ディーラーという実践経験を生かした経済分析、マーケット分析。

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