公開日 2023年7月24日

失われた500兆円 日本の住宅の常識は世界の非常識

本来、住宅購入は投資であり、街づくり、地域作りです。住宅は日本で失われている富の一つです。
失われた500兆円 日本の住宅の常識は世界の非常識

失われた500兆円

一般的に日本では家を購入する時に、住宅ローンを使う、つまり借金をします。
そして、30年から50年の住宅ローンを返し終えた頃には、建てた家の価値は目減りし、売ると損失が出ます。
借金を背負い、家を建てて、最後には売れずに資産価値の低い家だけが残る。
これが日本の住宅事情です。
これは日本の常識ですが、世界の非常識です。

例えばアメリカでは、住宅を購入するということは「投資」です。
家を買って売れば利益が出るということです。
これは今の日本ではほとんど考えられないと言って良いでしょう。

なぜアメリカでは建てた家が売れて利益が出るのでしょうか?
それにはいくつか理由があります。
まず、アメリカは長期にインフレ傾向が継続し、住宅市場は、基本的に株と同じように右肩上がりであり、買えば売れるという時代が長く続いていたからです。

リーマンショックの引き金になったサブプライムローンというものが、あれほど流行ったのも、アメリカの住宅市場の特性、つまり、買った家を売れば利益になる。
だから、家を借金してでもどんどん買おう、ということになったのです。
日本の住宅市場は全く異なるので、アメリカの住宅市場の特性がわからないと、なぜアメリカでリーマンショックが起きたのかの全容も見えにくくなります。

これに対して、日本の住宅市場は買った家がどんどん価値がなくなります。
その総額が戦後から現在に至るまでおおよそ500兆円規模以上なのです。
そしてこの金額は根拠のない金額などではもちろんなく、政府が公表しているデータになります。

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出典:https://www.mlit.go.jp/common/001089398.pdf

なぜ日本の住宅は価値がないのか

なぜ日本の住宅は欧米などと比較して価値に乏しいのでしょうか?
その理由は複数ありますが、大きな原因の一つは戦後の日本の住宅はスクラップ&ビルド方式でおよそ20年持てば良い、という設計で建てられているからです。
これは住宅ローンよりも短い期間です。

それと同時に、日本では欧米と比べ、中古で住宅を取引することが圧倒的に少ないです。
日本人は新築好きだということ、リフォーム価格が割高、自分たちでメンテナンスやリフォームをする習慣がないという事情もあります。

日本での住宅市場における中古住宅の割合は1割程度ですが、アメリカはその逆で9割が中古住宅です。
(国交省資料より;https://www.mlit.go.jp/common/001089398.pdf

20年しか保たない家を、住宅ローンを返し終えた頃に売ろうとしても誰も買わない、というのが現実です。
従って、日本では住宅を購入するのは馬鹿馬鹿しい、賃貸の方が良い、という論者が一定数いますが、それは日本の住宅市場が世界的に異常だからです。
また本質的な原因は、戦後元々日本にあった建築ではなく、ノウハウに乏しい西洋式の家を、急増するニーズにより無計画に建ててきたことがあるのではないでしょうか。

住宅は投資が街づくりに繋がる

家を買うということが投資である、これが日本と世界の最大の住宅に対する価値観の違いです。
そしてこれは街づくり、地域作りにも繋がります。
日本では家は購入したら終わりのいわゆる消費財です。
ですが、欧米では転売する投資対象なので、当然、高く売ろうとするインセンティブが働きます。その結果何が起きるでしょうか?

まず家の持ち主は、家をできるだけ良い状態で保存しようとしたり、改善してより付加価値をつけたりしようとします。
また、家だけではなく、その土地の地価の値段を上げることも投資利益に繋がります。
何もない荒れ果てた土地より、整った特徴のある街並みの方が、当然価値が出ます。
つまり、住人たちが魅力的な街づくりをしよう、古き良き街並みを残そう、ということに欧米ではなるわけです。

日本では昨今、地方において街づくりが叫ばれていますが
政府がお金をかけて何かをするよりも
地域の人々に、自発的に魅力的な街づくりをしてもらった方が
よほど合理的ではないでしょうか。

日本の住宅の大半は欠陥住宅

日本では夏暑い時に部屋は暑くなり、寒い時は寒くなります。
これが当たり前と思っている方が多いかと思いますが、このような家はドイツでは欠陥住宅とみなされます。
欠陥住宅では必要以上にエアコンなどの使用で化石燃料を消費し、また頻繁に家を壊し、建て替える世界観も環境負荷は相当高いと言えるでしょう。
こうした住宅事情は全くもって持続可能性はありません。
環境問題や持続可能性を意識する、世界のトレンドとは、およそかけ離れています。
従って、政府の方でも、長期優良住宅の推進やZEH(いわゆるゼロエネルギー住宅)に対して補助金を出すなど、住宅の問題には取り組んでいます。

現在、長期優良住宅は20%以上に増え続け、少しずつ改善は見えていますが、20%程度が長期優良ということは、80%近くの住宅は言い換えるとやはりその要件を満たしていない欠陥住宅の可能性がある、ということです。
国交省より(https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001090.html

昔の日本の家は100年住宅

実は戦前の日本の住宅は、現在の住宅とは真逆で、欧米以上に長持ちする家が多かったと言われています。
その証拠に、今でも京都や全国の神社仏閣など、驚くほど木造で長持ちしている建物はいくらでも目にすることができます。
木が腐らずに長持ちする理由は、自然乾燥させた木材を使うことです。
従って、特に木造建築に関して、元々日本には長期優良住宅のノウハウはあるということが言えます。
そうした本来の日本の素晴らしい技術に、最新のOTG(オフザグリッド)を備えて100年住宅を目指す企業も現れています。
https://misawa-otg100.co.jp/lp2023/

住宅に光を当てる

日本は先進国で非常に豊かで恵まれた国ですが、衣食住の基本のうち
「住」だけが突出して未成熟な状態にあることを、国民一人一人が気が付く必要があります。
先ほど説明したように、政府の方ではデータも公開し、それなりに対策をしている状態ですが、国民の方が住宅だけは貧しい状態に置かれていることに気がついていないです。
とはいえ、これは政府の政策の失敗であり、それにより500兆円の損失を出してきたことを真剣に受け止め、もっと積極的な対策を取る必要もあると言えます。

またスタートアップ投資に何兆円も投資し、新しい市場を作って経済を活性化させることも必要かもしれませんが、もっと世界的に成功例があり、明らかに改善の余地があることをした方が、経済対策としても良いのではないでしょうか。
スタートアップで500兆円を生み出すことは難しいかもしれませんが
欧米などの政策を学び、まともな住宅市場を整備したら、単純すぎる計算かもしれませんが、500兆円の価値が生まれるわけです。

政権の政策の目玉、柱にしても良いくらいです。

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