公開日 2022年11月16日

SPAC合併企業の破綻連鎖が起きると投資しているファンドも危ない?

SPAC企業とSPAC合併企業について、そしてSPAC合併企業の連鎖倒産が起きたらどうなるのかついてお話します。
SPAC合併企業の破綻連鎖が起きると投資しているファンドも危ない?

前回の記事はこちら(全3部構成記事)


SPAC企業とSPAC合併企業とは?

それでは今回の本題であるSPAC合併企業について説明していきましょう。まずはSPAC企業についてです。

SPACとは「Special Purpose Acquisition Companyの頭字語で日本では特別目的買収会社と訳されているようです。

IPO(上場)を果たしているにも関わらず、実態がない、企業活動を行っていない企業のことを指します。
上場後に、SPACは有望な事業会社を探し、買収、または殆どの場合はそうなのですが、合併を果たします

特別目的とは、まさに再度上場するための宿主となる有望な事業会社探しのことを指します。1年半から2年の間に合併先を見つけられない場合は、資金は投資家に返還されます。

日本では小切手は普段の生活では目にすることはありませんが、米国社会においては未だに使用されているので、ネトフリのドラマや映画で小切手を渡すシーンを見られている方も多いのではないでしょうか?

小切手では、電気代などの支払いに使用できる金額を小切手の空欄に書き込むようになっています。
米国ではSPACは「白紙小切手企業」と揶揄されています。

これは、買収するスタートアップ企業の小切手の企業価値が空欄になっている(彼等は資金がほしい)ので、合併するに当たりSPACが勝手に値段を書き込むことができる状況を皮肉ったものです。

先日もM.B.A.時代の友人でプロの債券ディーラーが久しぶりに来日したのでディナーに行った際に、このSPACは話題の一つとなりました。

「なんで、こんな制度が存在しているの?世界金融恐慌の時のサブプライムローンで懲りたんじゃなかったのか、クレイジーだよね」

「まあ、アメリカにはロビー活動があるからね」

という話でした。FTXの創業者もロビー活動を積極的に行っていたわけで、これが米国社会の闇ということでしょうか?

アングロサクソン系(米英豪カナダ)はラテン系(仏伊スペイン)とは異なり不正や賄賂に関しては厳正な態度で臨むというのが建前ですが、実は富裕層は儲かるために動くわけです。

中国の2001年のWTO加盟も本来なら起きていないわけです。イラク戦争の口実となったフセイン大統領による大量破壊兵器の保有も虚偽だったことは歴史が証明しています。

彼等が本来の清教徒的な使命を全うしていたならば、現在の世界状況も大きく変わっていたことでしょう。

まあ、とにかく、ありえないようなSPAC企業が多く存在していたわけです。

そして、SPAC企業は有望な事業会社と合併して、再度上場するわけですが、これはウィンウィンの関係となっています。

SPACにとっては存在価値のない自社が金の卵を見つけて、自分に都合の良い値段(もちろん交渉はあるでしょうが)で出資する時点で株価は上昇し、含み益が得られます。

また、SPAC合併企業として再度上場を果たした時点でも株価は上昇するので、ある程度の割合の出資企業としてさらなる含み益を通常は得られるからです。

吸収されるスタートアップの事業会社においては、上場企業であるSPACとの合併により、単独で上場する際に必要となる面倒な手続きを省くことができ、最速で上場できるわけです。
幹事となった投資銀行に支払うアドバイザーフィーも安くなります。

2020年3月の世界的金融緩和後に多くのSPAC合併企業が上場を果たしました。
上述のように上場前審査がきっちりと行われていないこれら企業の財務状況は不透明であり、どれだけの現金・預金があり、いつ資金が枯渇するかなど神のみぞ知るの世界なわけです。

2023年にSPAC合併企業の連鎖倒産が起きると米国株式市場は暴落するが、金余りでもちこたえる可能性も?

FTXの破綻が株式市場に動揺を与えたのは何と1日だけでした。

これには流石に驚きましたが、それだけ溜まりに溜まった現金を投資したい心理が強いということでしょう。

2023年を展望すると、ウクライナ戦争は長期化の様相を示し、欧州と英国は今後スタグフレーションに陥る可能性が高くなっています。

後進国はましていわんやという状況でしょう。米国はリセッションに入るかは五分五分のようです。実は日本が一番成長するのかもしれません。

そして、SPAC合併企業の破綻は起きるでしょうが、エンロン規模の企業で起きるのか、ある程度の大きさの企業の連鎖倒産が起きるかどうかが焦点になるのではないでしょうか?

FTXの破綻においては、セコイア・キャピタルはすぐに全額償却のアナウンスを出しました。
約2億1400万ドル(約300億円)の巨額ですが、セコイアにとってはピース・オブ・ケーク(取るに足らない)額だったようです。

一方、他の投資家は評価額を0にするとの声明は出していません。
ファンドによって受けたダメージの程度は異なるということでしょう。

エンロン事件のような大型倒産や連鎖倒産で大型ファンドまでもが破産するような事態に陥れば、米国株式市場はITバブルや世界金融恐慌時のように暴落することになるでしょう。

反面、2020年3月から2021年12月までに得られた利益の範囲内であれば、今回のセコイアのように持ちこたえることができ、その間に実体経済も回復し、暴落は避けられる可能性も否定できません。

今後FTXのような破綻が何回か起きるのは確かでしょう。その際に市場がどう動くかが決定することとなるでしょう。

【全3部構成記事】



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プロフィール

松田遼司

松田遼司

東京大学史学科を卒業後、内資メーカーに入社、半導体需要予測を担当。IVYリーグ系M.B.A.をアート・マネジメントとインターナショナル・ビジネス専攻で修了後は外資系半導体メーカーでアナリスト・広報・企画等を担当。その後ウェブ系外資系企業CEOを経て起業、2度のイグジットを達成。さらには内資メーカーでメディカル事業部を立ち上げ、ロンドン市場上場の黒字企業のM&Aを実現させた。

映画・写真・美術・旅行・料理・ワイン・漫画などについて造詣が深い。
自分ではなく、世の中のためになる仕事に就くことを理想としている。

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