公開日 2022年11月9日

間もなくドル円は流れが変わる

現在の円安は米国の金利急上昇を背景としたドル高が主因であって、円サイドの環境が円安を呼んでいるわけではない。
間もなくドル円は流れが変わる

FRBは利上げ休止も視野

予想を上回るインフレが続いていることを受けて、FRBは異例の4回連続となる75bpの利上げを決めた。これでFF金利の誘導目標は3.75%~4%のレンジに上昇した。

FRBの長期予想の中央値である2.5%を大幅に上回っているが、インフレ高騰が引き続き収縮的な金融政策を正当化している格好である。

一方でFRBは、予想を上回るインフレが続いているにもかかわらず、11月の声明文ではフォワード・ガイダンスを変更し、これまでの累積的な利上げ幅と、金融政策が経済に影響を及ぼすまでタイムラグがある点を強調した。

声明文の文言は、75bpの利上げ継続の余地を残してはいるが、文言の変更はFRBが2023年初めに利上げサイクルを休止する構えを示すものと解釈できる。

記者会見でパウエル議長は、早ければ12月のFOMCで利上げのペースを減速させる可能性を強調する一方、9月の会合時でFRBが予想した以上にインフレ率が上昇し、粘着性(なかなか下がらない性質)があると見られることから、FF金利の最終的な到着点(ターミナルレート)は過去の予想よりも高くなる可能性があると警告した。

全体として声明文とパウエル議長の発言は、FRBが2023年初めに利上げを休止し、これまでの引き締めの影響を評価する意向と解釈できる。

金融政策の発動から効果が出るまでの長いタイムラグ、景気後退リスクの高まり、インフレ見通しをめぐる不確実性はすべて、今後、引き締めのペースがより慎重になることを正当化するようになると思われる。

その背景には、金融状況が2008年以上のペースで引き締まっていることがある。

声明文と記者会見に対する債券市場の反応をみるかぎり、FRBはインフレが高騰する中、金融状況を十分に引き締めながら、引き締めのペースは変えるという綱渡りの政策をどう伝えていくのかという難題に直面していると言えよう。

声明文の文言がハト派的に変化したことを受け、当初、米国債の利回りはイールドカーブ(利回り曲線)全般で低下した。

その後、パウエル議長が市場は追加利上げを想定すべきで、FF金利の最終的な到達点は、これまでの予想よりも高くなる可能性があると強調したことから、流れが反転した。

現時点で筆者は、FRBは12月に政策金利を50bp引き上げた後、年明けの早い段階で4.5%~5%のレンジで利上げを休止すると予想している。

その一方で米経済は2023年初めにリセッション(景気後退)入りすると予想しており、この時点でFRBは利上げ休止が理に適うと考えるだろうとみている。

とはいえ、インフレが依然として高騰している状態で、FRBが利下げのタイミングを急ぐとは考えられない。

利上げ休止が近いとみる理由

パウエル議長のタカ派的な記者会見での発言は、ハト派的な声明文とは対照的だった。

パウエル議長は、まだ利上げ休止を考える時期ではないとの点は明確にしているが、声明文の変更と、早ければ次回会合で利上げのペースを落とす可能性があるとの議長の発言は、利上げ休止の方向への第一歩だと解釈している。

他の中央銀行も同様だが、政策金利が有意に緊縮的な水準に達した時にはFRBは利上げを休止するのが理に適っていると考える理由は主に3つある。

1. 最も重要な点として、金融政策は効果が出るまでに時間がかかるから

完璧な予見性をもった中央銀行は、今日のインフレの動向に基づいて、政策を変更すべきではなく、1~2年先のインフレ予想に基づくべきである。

しかしながら、インフレ・モデルの信頼性が疑問視される時は(現在が間違いなくその状況だ)、予想に依拠した舵取りが難しくなる。

とはいえ、予想外のインフレに対するこれまでの中央銀行の力強い政策アプローチは、物価の安定の責務を全うする意思と能力への信頼性を幾分取り戻したはずである。

言い換えれば、前倒しの利上げによって当局は、利上げ休止までの時間をいくらか稼げたと言えよう。

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(この記事は 2022年11月07日に書かれたものです)

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金森薫

金森薫

国際エコノミスト。元外為・債券・株先ディーラーという実践経験を生かした経済分析、マーケット分析。

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