公開日 2022年3月7日

ロシアが支援 沿ドニエステル共和国とは?

ロシア軍がウクライナ東部のロシア系住民が住む地域に侵攻し2つの「国家」を樹立。この2つの地域と同様にロシア系住民が多くモルドバ政府と政治的な対立が続いてきた「沿ドニエステル共和国」とは?
ロシアが支援 沿ドニエステル共和国とは?

「沿ドニエステル共和国」

この国の名をご存じでしょうか。
日本として認めていない国家のひとつで国際連合未加盟国でもあります。

沿ドニエステル共和国( えんドニエストル きょうわこく)はモルドバ共和国国内のウクライナとの国境になっているドニエステル川沿いにあり、南北約200キロ東西の幅は5キロから20キロほどで縦長にモルドバの領土の一部を占有しています。モルドバ共和国に占める割合は人口も領土も約9分の1となっています。(地図で見るともっと小さく見えますが)

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出典:東京新聞 TOKYO Web

これは日本の石川県ほどの面積に石川県の半分以下の人口が住んでいると言えばイメージが湧きますでしょうか。

民族構成としてはモルドバ人、ウクライナ人、ロシア人がほぼ3分の1ずつを占めているようです。

筆者はコロナ禍が始まるまでのここ数年は毎年のようにモルドバを訪れていましたが、その際にこの国に2度ほどワインとキャビアの買い付け検討のために訪問したことがあります。

モルドバの首都キシナウで、ドライバー付きのワゴン車を手当てして舗装状態が悪い郊外の幹線道路を2時間弱揺られていくと、この国の入り口の1つに着きます。沿ドニエステル共和国はモルドバの国内にありますが、モルドバ共和国と沿ドニエステル共和国との間には国境があり道路には検問所があります。

モルドバ人は問題なく検問所を行き来できますが、外国人である我々はパスポートチェックを受けてショッピングや観光など訪問目的を告げ滞在許可書をもらい入国?します。日帰り滞在であれば容易に認められました。

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検問所を越えるとそこは異国です。使える通貨も変わりますが街の雰囲気も大きく変化します。社会資本が充実している様子が伝わってくるのが綺麗に整備された公園や街並み、道路の状態です。特に道路の舗装状態はとても良くクルマの走行も快適です。

一方で、個人や企業活動に対する監視は厳しそうで、あくまでも筆者の個人的な印象ですがモルドバの中にあるソ連(ロシアよりも)と言った感じです。場所によっては街中の写真を撮ることも差し控えたくなるので不思議です。

この国はモルドバ唯一の工業地帯でありますが、同時にモルドバ同様ブドウ栽培が盛んでワインのほかウィスキーも生産しています。また、郊外にはそのほかに大きなキャビア工場(彼らはそう呼んでいる)があり、独自技術の開発により多数の巨大な水槽でチョウザメの養殖と産卵に成功し大きな産業に育て上げているのです。

さて、先月2月下旬にロシア軍がウクライナ東部のロシア系住民が住む地域に侵攻し二つの「国家」を樹立させました。「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」です。この2つの地域はロシア系住民が多くウクライナ政府と政治的な対立が続いてきた背景がありますが、その意味ではこの沿ドニエステル共和国も同様なのです。

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沿ドニエステル共和国の起源は、1990年初頭ソビエト連邦が崩壊してモルドバが独立する前後で、ドニエステル川沿いに住んでいたロシア系住民がラテン系の血をひくルーマニア系民族であるモルドバ人が政治的にルーマニアに接近していくことを良しとせず独立を宣言したことに始まっています。

1992年のモルドバ政府との間でトランスニストリア戦争が起こりましたが、モルドバ政府軍に対抗するロシア系民族を救済する名目でロシア軍が軍事介入して、その後も沿ドニエステル共和国内に駐留が継続されています。

実はこの沿岸ドニエステル共和国を既に承認していてお互いに大使を派遣している国家は世界で2国だけあります。アブハジアと南オセチアでいずれもジョージア領土内にありジョージアからの独立を主張する自治区です。実はロシアもまだ独立国として承認していないのですが、筆者は時間の問題であると考えています。

(こうやってみると、ソ連崩壊時にウクライナとほぼ同時に独立を果たしたモルドバもジョージアもそれぞれ火種を抱えていることがわかり、ロシアによる今回のウクライナ侵攻がどこまでを意図したものなのか筆者としてはとても気になります)

とにかく今はウクライナに侵攻したロシアが同様の口実でモルドバ国内にあるこの沿ドニエステル共和国に追加派兵するなどと言う事態が起きないことを祈るばかりです。

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プロフィール

石塚彰人

石塚彰人

元外銀バリューアップ・マネージャー

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